私が小中学生時代に読んだ短編漫画の中に、こんなお話がありました。
当時はやっていた(?)超能力&タイムトラベラーの話なのですが、とても印象に残って、当時何度も読み返した記憶があります(だから話もよく覚えている)。
もう40年くらい前の作品なので、今さらネタバレも何もないと思うのであらすじを。
主人公の少年が朝起きて窓を開けると、いつもと同じように霧が発生している。いつもと同じ朝。…のはずが、いつもは見ない男性が下から自分を見上げているのが見える。
「いつもと違うことが起こっている」と少年はひどく怯える。
下にいた男性は、ずかずかと家に上がり込んできて、無理やり少年を引きずって外に出す。当たり前ながら、少年は抵抗するすが、男性は言う。
「どうせ毎日同じことの繰り返しなんだから、一日くらい学校に行かなくても構わない」
ここからがかなりSFで、地球が何かの作用で一日も前に進まなくなった、という設定です。
一日をやり過ごすと、また同じ一日がやってくる。毎日同じ時間に霧が発生し、同じ時間に雨が降る。書いたものは朝になると何も残らず、記憶だけが残る。恐ろしいことに、毎日同じ時間に同じ人が死ぬ。朝が来るとその人は生きていて、また同じ時間に死ぬ。
この少年は、タイムトラベルができるという特殊能力の持ち主。
それを突き止めた男性が、少年に「過去に行って、歴史を変えてくれ」とお願いする。そうすれば、きっと未来が変わって、壊れたレコードのように同じ毎日がやってくる地獄を避けることができるかもしれない。
実家にたぶんコミックが残っているので漁れば出てくると思うのですが、今手元にないので、細かい内容は間違っているかもしれませんが、大まかにはこういうストーリーです。昭和っぽいですね。今はSFはあまり流行らないですよね。
過去にタイムスリップすることに成功した少年は、街を歩きながらこう言います。
「同じ街の同じ通りなのに何かが違う。
そうか、人々の表情に活気があるんだ」
コロナ前に撮った写真を見ると、世の中がもっと明るくて活気があるように見えて仕方ないのです。実際人が街にあふれていたし、マスクもしていないし、大声で笑ったり家族以外と外食したりしていました。
そこからまだ1年もたっていません。
コロナ前とコロナ後、変化したことはたくさんたくさん数えきれないほどあります。でも、「活気を失う」ことは中でも大きな差異であり損失だと思います。
人間は社会的動物である以上、このまま他人との接触を避け続けていたら、心が枯渇してしまうなぁ、と過去の写真を見ながらつくづく思いました。