7月末から日本に一時帰国しました。
弟の都合とすり合わせて、8月上旬に会うことになりました。息子はいとこたちと一年ぶりの再会、そして私は施設にいる両親の訪問です。
いよいよ両親と対面
弟家族と昼食を食べた後、ぞろぞろと老人ホームへ行きました。
エントランスはちょっとしたホテルのロビーのような高級感で、びっくりしました。
話はすでに通っていて、上の階にある食堂に通されました。食堂と言っても、学食みたいなテーブルがぎゅうぎゅうあるようなスペースではありません。ゆったりとしていて、椅子もテーブルもとてもスタイリッシュでした。
父と母が、スタッフの方に連れられてすぐに来ました。
父は本当に細ーくなっていて、車いすにちんまりと座っていました。一方、母の方はてきぱきと動いていて、とても元気そうに見えました。
後で弟に聞いたら、「薬が効いて陽気になっているかもしれない」とのことでした。
私たちが着いた時、ちょうどおやつの時間だったようで、父と母に小さなケーキとコーヒーが出てきました。どうやら私たちのために、他の入居者の方々は別の共有スペースに行ってくれているみたいでした。広い空間に、私たちだけです。
父とおやつ
私が最後に見た両親からは想像できないほど、特に父の変わりようにはびっくりしました。父はコーヒーカップを持つのも難しいようで、一生懸命何度もコーヒーを飲もうと持ち上げるのですが、どうしても口まで持っていくことができません。できたとしても、そこからカップを傾けて口の中にコーヒーを流し込む、という簡単な動作にとても難儀していました。
父のコーヒーはとろみがついていて、つやがあって美味しそうに見えました。
自分で飲むことを途中で諦めた父が、「飲ませてくれないか」と私に言ってきました。
発音が不明瞭なので、そういったように聞こえる、という感じでした。
がんばったけどできなくて失敗してしまったコーヒーのシミが、父のTシャツの胸に縞模様となっていました。
父の尊厳を損なわないようにどう言葉を選んだらいいか、ちゅうちょしました。
スプーンで父の口にコーヒーを持っていくと、唇をふるふると震わせながら口を開いてくれました。少しずつ流し込んだつもりでしたが、急いだり量を増やしたりするとすぐにむせてしまいます。
それでもどうやらコーヒーが美味しかったみたいで、お代わりが欲しい、とスタッフの方にお願いしていました。
食べ物の味は、まだわかるんだ、良かったなぁ、と思いました。
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