エメラルドシティでの輝かない生活

シアトル近辺でオットと息子の三人暮らし.子育てと日々の雑感.

自分に価値があるかどうか

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ぼんやりの価値

最近、「私の価値って何だろう」という、すごく哲学的な問いをする友人の話を聞きました。「自分の価値」とか考えだすとけっこう辛いですよね。

 

今まで何度かこのブログで名前を出してきましたが、私が最近激推ししているポッドキャスト、コテンラジオでは、たくさんの歴史上の人物を取り扱ってきています。すごく有名でありながら、その中身はクズみたいな人もいますし、クズがライジングして偉人になるケースもあります。

 

例えば、仏教の創始者であるゴータマ・シッダールタ(ブッダ)は、王子として生まれたそうです。王子です。家柄が良かった。しかも文武ともに才能もあり、周囲から期待されて育ちます。ところが29歳にして突然むなしさを覚えて出家してしまいます。美人の奥さんがいて、子供も生まれていたにもかかわらずです。
仏教が後世に与えた影響は莫大なものですが、当時の家族はかなり失望したことと思います。後世に影響を与えるような偉人になるより、跡取りとしての責務を果たしてほしかったことでしょう。しかもひどいことに、その時生まれた子供には「ラーフラ」と名付けたそうです。意味は「束縛者」です。ひどいですよね。ひどい。

歴史を面白く学ぶコテンラジオ (COTEN RADIO):Apple Podcast内の#36 美女500人との宴会より自己との対話・仏陀 ― COTEN RADIO

 

それとは対照的に、「奇跡の人」として有名なヘレン・ケラーは、三重苦というハードモードから人生が始まります。もともとは利発な子供だったようですが、しょう紅熱がもとで目と耳の機能を失い、そのため口もきけなくなってしまう。彼女がラッキーだったのは、家が裕福であったこと、それからサリバン先生と出会えたことです。サリバン先生がヘレンに会う前に話を聞いた、やはり三重苦の女性は、幼いころ、今でいうネグレクトにあっていました。でも、彼女の経験がヘレンとサリバンの助けになるのです。
もちろんヘレン自身の努力はすさまじいものであったと思いますが、同時にそういった人々からの知恵や努力が彼女のもとに数奇な運命をたどって届けられ、後世に素晴らしい影響を与えていきました。
ちなみに私はポッドキャスト聞きながら泣きました。愛が深くて。

歴史を面白く学ぶコテンラジオ (COTEN RADIO):Apple Podcast内の#107 ヘレン・ケラーとアン・サリヴァン ― 愛とキセキの物語【COTEN RADIO】

 

冒頭の友人は、人間関係のこじれから自分の価値について考えてしまったみたいなんですが、だからこそ飛躍の原動力になりえた、というようなことを言っていました。深い。ものすごく考えさせられました。

「自分には価値があるのだろうか」と思うに至る経緯はあまり幸福なこととは思えませんが、そういう時期を乗り越えなければ得られないような大きな幸福がその先にあったとしたら、今現在の辛いことは必要だったということになります。

 

こうやって考えると、現在の自分の評価なんて大して意味がないなーと思ったりします。それだけでも、少し自分が自由になれる気がします。