先週書いた ちょっとの想像力でもっと平和になるのに で、ちょっとだけ紹介させていただいた、鴻上尚史さんの人生相談なのですが。
この鴻上さんの回答の最後の方に
名作映画『チョコレートドーナツ』を見る前と後で、ダウン症児に対する意識がまったく変わった知り合いがいます。人は、知ることで変わる可能性があるのです。
とあり、さっそく週末見てみました。
原題は "Any Day Now", 2012年の作品だそうです。
日本でもすごく話題になったらしいのですが、全然そんなこと知らなかったです。まだ日本にいたんだけどな…仕事と子育てでテンパってたからかしら。
1970年代のLAが舞台。
ゲイカップルとダウン症の少年の三人の物語です。
設定だけでおなか一杯になりますね。でも、こういう素材を使いながら、まったく感動ポルノになっていないストーリーが本当に素晴らしい。
結論から言うと、自分でも引くほど泣きました。今思い出しても泣いちゃう。
特に最後の15分くらいが最高でした。
ほとんどセリフらしいセリフもなくて、ポール(主人公ルディの恋人)が手紙を読んで、ルディがただボブ・デュランの "I Shall Be Released" を歌っているだけ。それだけで信じられないくらい泣きました。もう、ひたすらルディ役のアラン・カミングの歌が素晴らしいのです。あれは魂が揺さぶられるような歌声でした。
映画が終わった後も、しばらく涙が止まらなくて、ずっとダウン症の男の子、マルコのことを考えていました。
70年代と言えば、まだまだ偏見が激しかった時代です。
ひどい偏見で彼らを追い詰めていく人も描かれていますが、ほんのちょっとの想像力があれば、こんな無益な言い争いなんかしなくてもいいのにって心底思いました。
もし自分の子供がダウン症だったら。自分のきょうだいがゲイだったら。
実際、彼らとかかわった支援級の教師や、裁判時の聞き取り調査員は、このカップルへの偏見がなくなっていきます。
たまに、アルカイダやタリバンの子供たちはどんな子供たちなんだろうって想像することがあります。もし、小さいときから戦闘や死体を見て過ごして、大人たちから極端な思想を繰り返し聞かされ続けていたら、そして外界からの情報が遮断されていたとしたら。
そうやって考えると、切なくて仕方なくなります。
彼らにも大切なものがあるのだろうか、もしその大切なものを誰かに奪われて、それを報復という形でしか解消する方法を知らなかったら、おなかに爆弾を抱えて人の中に飛び込んでいく人生につながっていくのかもしれません…
世の中のたいていのいさかいは、もしかしたらほんのちょっとでも、相手のことを知ることで解決するのでは、と思ったのでした。
ランキングに参加しています♪
ポチッとお願いします↓